
2010年、FCバルセロナに所属するラ・マシア(バルサの育成寮)出身のシャビ、イニエスタ、メッシの三人は、FIFAバロンドールの最終ノミネートに選出された。
結果はメッシの受賞となったが、シャビはこの状況を「カンテラと、クラブの哲学の勝利」という、美しい言葉を残している。
そして同じくラ・マシア出身として、僅か18歳でバルサのトップチームに呼ばれた選手がいる。
彼の名は“ジェラール・デウロフェウ(Gerard Deulofeu Lázaro)”。
幼くして天才ドリブラーと崇められ、「メッシの再来」とまで呼ばれた選手は、23歳になって、よくやくバルサに帰ってきた。
ラ・マシア出身の彼が、なぜそんな経歴を歩むことになったのか?デウロフェウとは一体どんな選手なのか?
今回は、波乱に満ちた光と影の経歴を合わせ持つ“デウロフェウ”について紹介してみたい。
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ジェラール・デウロフェウのプロフィール
- 本名:ジェラール・デウロフェウ・ラサーロ(Gerard Deulofeu Lázaro)
- 国籍:スペイン
- 生年月日:1994年3月13日(23歳)
- 所属:FCバルセロナ
- 身長:179cm
- 体重:73kg
- 利き足:右足
デウロフェウは、世界一のサッカー育成組織とも言われるバルセロナの下部組織に、僅か9歳で入団する。
その後も順調にステップアップしていき、誰もが羨む超エリートコースを歩んでいたデウロフェウは、子供達や同年代の憧れの存在だった。
南アフリカワールドカップでスペイン代表が優勝し、バルセロナやスペイン代表が黄金期と呼ばれていたまさにその頃、デウロフェウも当然の様にU-16からU-21までの各アンダーカテゴリで選出され、それぞれで華やかな成績を収めている。
だが、幼い頃からメッシの再来と期待されていた少年は、多くのファンが描いた未来とは裏腹に、次第にエゴの強いワンマンプレーに終始するようになっていく。
U-21スペイン代表ではキャプテンまで務めたが、周囲から聞こえてくる声は賛辞ではなく懐疑の声だった…「この選手は本当に価値がある選手なのか?」と。
こうして僅か10代でバルサトップチームデビューも果たしたものの、その後は出場機会もほとんど得られないまま移籍を余儀なくされた。
ジェラール・デウロフェウの移籍
世界一と言われるFCバルセロナで、幼い頃からこれ以上ないキャリアを歩んできたデウロフェウだが、チームの方針に合わず、とうとう2013年にエヴァートンへ期限付き移籍となる。
その僅か一年後2014年にはセビージャへ、そして2015年にはバルサから完全に見放され、エヴァートンへの完全移籍が決定してしまう。
その後は本田も所属していたACミランにも在籍し、今シーズン、バルサの右サイドの補強として、ようやくホームのバルサに帰って来る事ができた。
育成を前提として、長期で欲しがられる筈の20代前後の時期を、デウロフェウは僅か4年で実に3チームを渡り歩いた事になる。
ジェラール・デウロフェウのポジションは?
デウロフェウは左右どちらかのWGの選手だ。
ただ、どちらかと言うと、その能力を発揮する為というよりは、消去法でWGでしか使い所が見出せない選手でもある。
前線から一撃必殺のカットでゴールを脅かす事もあるが、献身的なプレスというわけではなく、ごく稀に相手の虚を突いてパスコースを読むといった感じだ。
天才と呼ばれたジェラール・デウロフェウのプレースタイル
幼少期には天才と呼ばれ輝いていたドリブラーも、年齢を重ね、組織力で幾らでも対応できる事に周囲が気付き始めると、次第に只のワンマンプレーヤーと称される様になってしまう。
バルセロナに戻るまでのデウロフェウは、とにかく敵陣深くのサイドで受けて、そこから切り崩してのシュートやクロスといったパターンしか持っておらず、到底魅力がある選手とはお世辞にも言えなかった。
自分で見せ場を演出するかの様に止まってパスを受け、相手を正面に据えてからゆっくり仕掛けていくのだが、そこで1対1に勝ったとしても時間が掛かり過ぎている為、相手はブロックを敷き直して万全で待ち構えている。
そこからクロスやシュートを幾ら打っても、運が良ければCKを取れる程度だ。
まるでサッカー部員が、体育の授業で未経験者相手にはしゃいでいる様な、そんな自己アピールだけしかしていない選手と言えば、分かり易いだろう。
身体能力や技術力も一定の水準には達しているのだろうが、とにかくフットボールをまるで知らないかの様な、未熟さだけを露呈するだけの青年期となってしまった。
メッシから学び成長するデウロフェウ
救いが無いかに思えたデウロフェウだが、遂にバルサ復帰を果たすと、プレーも見違えて良くなってきている。
まだまだチームにフィットしているとは言い難いが、少しずつ献身性やチームプレーを見せる様になっており、同じく新加入のデンベレが負傷した今、デウロフェウは必死に自分の進退を賭けて挑んでいる様に見える。
そもそも、これまでは「自分こそが局面を打開するべきチームの主役だ」と思っていたのだろうが、バルサではそんな事を考える必要がまるでない…バルサには言わずと知れたメッシがいるからだ。
そしてバルサのお家芸であるティキタカは、見方を変えれば局地戦を挑む為のポゼッションサッカーと言える。
局地戦を仕掛ける基本的な考えは、「勝てるポイントを絞り、勝つべくして勝つ」というのものだが、それがデウロフェウではなくメッシを指している事は、誰の目にも明らかだ。
その為に自分に出来る事というものを、デウロフェウはようやく掴みかけているのかもしれない。
バルセロナに復帰してメッシと共にプレーする機会を得たジェラール・デウロフェウ。
メッシという最高のお手本から少しでも多くのことを学んで欲しいものだ。
ジェラール・デウロフェウのウイイレやFIFAの能力値は?
再びバルセロナに戻ってきたジェラール・デウロフェウですが、ウイイレやFIFAの能力値はどれくらいなのでしょうか?
総合値と主な能力値を調べてみると・・・
ウイイレ 2108
- 81:総合値
- 83:ボールコントロール
- 86:ドリブル
- 81:フライパス
- 82:カーブ
- 90:スピード
- 87:瞬発力
参考:http://we2018.kouryakuki.net
オフェンスに関する能力値が高いですね。
FIFA 18
- 82:総合値
- 93:スピード
- 87:ドリブル
- 70:シュート
- 26:ディフェンス
- 75:パス
- 61:フィジカル
また特性が
- 自己中心的
- 華麗な身のこなし
- テクニカルドリブラー
スペシャリティが
- スピードスター
- ドリブラー
- アクロバット
さらに能力
- 攻撃意識 高い
となっています。
参考:https://www.easports.com
スピードと華麗なドリブルでバルセロナでの活躍が多いに期待できますね。
※ウイイレとFIFAの能力値などは記事執筆時の数値です。
まとめ
ここまで華やかな経歴を持ちながら、絶えず失望と失敗という声がついて回る選手も居なかった様に思う。
しかし、ようやく帰って来たホームのバルサには、プレーやサッカー以上に彼を大きく変える何かがあったのではないだろうか…。
終始「これでもか」とでも言いたげなプレーをしていた若者は、世界最高峰の仲間たちに囲まれながら、生まれて初めてサッカーというものを純粋に楽しみだしたのかもしれない。